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森友第三回 土地改良工事

1.土地改良工事
貸付契約後、乙(森友学園)は校舎建設に必要な土地改良工事を「N社」に発注し、同社は平成27年11月に「(仮称)森友学園小学校新築工事に伴う土壌改良他工事」と題して地中埋設物処理工事報告書を提出している。

その後、校舎建設はF社に移り、その基礎工事の際に、前記貸付時ごみの範囲を超える新たな埋設物(売払時ごみ)が発見されたとされ、「地下埋設物撤去数量及び処理費用算出根拠について(国交省算定見積)」には、「敷地内の試掘場所から、地表から3.8mの場所でゴミの地層の存在が確認できる。」「建設基礎部分の地盤改良工事(柱状改良)において、地中から廃材・ビニール片等の生活ゴミを含む埋設物が発生している。」と明記されている。

ここで重要なポイントは、発見されたごみが貸付時に明示された契約の範囲(5本の本件土地調査報告に基づく)外のものであること、を確認することにある。なぜなら前回記したように”本件土地に係る貸付契約の範囲から埋設ごみ(貸付時ごみ)が出たとしても、甲(国)側が損害賠償責任を負う必要はそもそもない”からである。

すなわち「発見されたと称する埋設物の存在(売払時ごみ)」は、その事実性において、厳格に検証されなければならない。(国有地は国民の共有財産である)

2.土地改良工事と産業廃棄物マニフェスト
貸付時ごみを処理したN社の土地改良工事について説明する。
その結果は、産業廃棄物マニフェスト記載のとおりであり、当該マニフェストは公文書であるから虚偽記載はない。また、本件工事に係る産業廃棄物に権限を有する豊中市(係)への確認でも、適正に処理されたと判断しているとの回答を得ている。

※産業廃棄物マニフェスト(産業廃棄物交付等状況報告書・産業廃棄物管理票)
産業廃棄物はその発生から、輸送、処理、処分までがどのように実施されたかの経過をすべて管理することが法令で義務付けられている。建設系廃棄物の排出事業者は元請であり、元請は廃棄物の委託の毎に管理票を交付し、交付を受ける業者も品目毎に輸送、処理、処分に細目の免許が必要である。

元請は最終的に前年4月1日から3月31日迄に事業所から排出した廃棄物を1枚の産業廃棄物交付等状況報告書で都道府県又は政令指定市に届出なければならない。
(虚偽・不届等罰則あり、管理票保管5年要す)

つまりこの産業廃棄物マニフェストを追うことで、どのような産業廃棄物が建設現場等から排出されたのかが分かる。例えば地中保管は依頼者の土地であっても不法投棄となり厳罰である。

したがって、工事が完了し、産業廃棄物をすべて排出すれば、どのような産業廃棄物があったかが解明できる。解明されないためには、依頼者の土地に穴を掘って埋めたり(隠したり)、どこかに不法投棄することになるが犯罪となる。

さてマニフェストでは適正に分別され、廃棄物毎にコード別に分けられて報告されている。(法令ですべて1枚のマニフェストで報告しなければならない。)

本件マニフェスト(産業廃棄物交付等状況報告書)は、豊中市への情報公開請求によって取得された正本の写しであって、「地中埋設物処理工事報告書」においては、その個々の項目毎の工事内容とともに、産業廃棄物に関するすべての管理票が委託契約書やマニフェスト管理簿とともに詳細に報告されている。

なお本件マニフェストに内訳がないものとして7(管理型建設系混合廃棄物)が記されているが、N社への取材に対し担当者は、「管理型品目を含む混合廃棄物の内訳は樹脂等です。」と回答している。したがってマニフェストは法令に則り全体が適正に報告されており、豊中市の担当係も同様の回答であった。

工事報告書の写真においては、埋設物探査、撤去、ふるい埋め戻し、分別、ガラ破砕、混合廃棄物コンテナ、そして本件土地改良工事に重要なフルイバケット検尺(スケルトンバケットメッシュ)の実物写真が示されている。

これら一連の工事写真を通じ、本件工事が適正に実施され、最終的に”整地渡し”されたことが分かる。

ふるい埋め戻しは、バックホウ(重機)を使い、土壌をメッシュ状のバケットで土砂と埋設物を掘削選別する工事で、ふるわれた土砂はメッシュの下に落ち、再利用される通常の工程であり、今般の工事は、建設に支障がある土壌汚染や埋設物の撤去を行う通常の要求仕様であったことが分かる。

N社は、平成27年11末までに本件土地改良工事を整地のうえ完了し、同年12月1日に工事完了報告を行い1期工事費103,140,000円、2期工事費28,620,000円総額131,760,000円の支払いを受けている。

重要なことは、産業廃棄物処理法上、本件工事で出た埋設物(産業廃棄物)はすべて、元請であるN社において撤去、処分、報告されなければならないことから、埋設物等産業廃棄物の管理責任(法的な)はここで一線を画すこととなり、それらは翌年平成28年5月2日付産業廃棄物マニフェストにて1枚の報告書として豊中市へ報告されている。(翌年度のマニフェスト報告はない。)

したがって実施された一連の本件土地改良工事は適正に施工されており、N社のホームページのお知らせには、そのように記されている。そのなかでN社は本件小学校建設工事についても競争見積に参加した旨を記すほか、「その後の廃材や生活ゴミの発見や撤去には一切係っていません。」としている。

3.土地改良工事の内容

平面図は、N社による埋設物撤去実施平面図(平成27年11月25日工事完了報告)に工事内容を色分けして一覧できるようにしたものである。(OA301 地下構造物状況調査業務報告書 は、重ね図として用いた)

青色は土壌汚染区画、薄い右斜線は全域1m、太い左斜線は校舎建設部分及び過去の舗装撤去を実施する場所で+2m(3m)の埋設物撤去の施工を行う。土壌汚染は土壌汚染工事として、埋設物は埋設物工事として区分して実施している(出典:工事完了報告書(財務省決裁文書))。

黄色に数字が入った場所は、N社が試掘を行った場所、赤い丸に数字が入った箇所は、その後工事業者がF社に移り、売払時ごみが発見されたとして財務局と航空局が示した場所、赤に数字が入った場所は、4月11日にF社が試掘したと称する場所である。

4.まとめ
前記図面(平成27年11月25日提出工事完了報告、有益費決裁文書)が具体的なN社による本件工事の実施内容である。検証は、図面内記載の施工面積㎡とⅠ期Ⅱ期埋設物撤去工事(掘削埋戻工)記載の数字の一致。

              土地改良工事の要旨

①土壌汚染除去工事は、指針に則り、5区画において適正に実施された。
②地下埋設物撤去工事の要求仕様は、校舎建設工事における支障をなくすこと。
③最終的な埋設物撤去実施平面図は前記図面のとおり。
(全範囲を1m、校舎建設部分と舗装部分撤去は+2m(3m)←設計仕様)
④フルイバケット検尺(スケルトンバケットメッシュ)の実物(以下写真)

⑤産廃マニフェストは適正に交付、管理、報告がされている。(豊中市、N社確認済)
⑥整地引渡し

N社が担当した土地改良工事が、どのような要求仕様で、どのように実施されたのかが確定されなければ、その後の新たな埋設物発見を検証できない。なお、平成27年11月25日提出の工事完了報告書(平成27年11月末)時点を区切りに、N社が請け負った土地改良工事に伴う産業廃棄物はすべて場内より整理され、以降に引き継がれることはない。(仮に引き継がれる場合はマニフェストに記載される)

したがって、土地改良工事に係る埋設物(産業廃棄物)の管理責任は、平成27年11月末をもって完了すると同時に、工事完了報告書はその後、正式に有益費として承認決済されており、N社による土地改良工事がその要求仕様において完工されたことが分かる。

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